⚡ 30秒で分かる結論
2026年時点の新NISAでは、保有商品を売却すると、その商品の取得価額(簿価)分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。ただし「売却した年にその場で枠が復活するわけではない」「売却価格ではなく取得価額ベース」「年間投資枠が増えるわけではない」の3点に注意が必要です。
NISAの「枠」は3種類ある
NISAの売却について考える前に、初心者が最も混乱しやすい「枠」という言葉を整理します。NISAには実は3つの異なる「枠」があり、それぞれ意味が違います。
| 枠の種類 | 金額 | 説明 |
|---|---|---|
| ① 年間投資枠 | 合計360万円 | つみたて120万+成長240万 |
| ② 非課税保有限度額 | 1,800万円 | 生涯で保有できる上限 |
| ③ 成長投資枠の非課税保有限度額 | 1,200万円 | 成長投資枠の保有上限 |
※2026年時点の金融庁公式情報に基づきます。年間投資枠の詳細は「NISAの年間投資枠」、生涯投資枠の詳細は「NISAの生涯投資枠」で解説しています。
重要
本記事で解説する「売却後の枠の再利用」とは、②非課税保有限度額(1,800万円)の再利用のことです。①年間投資枠は売却しても復活しません。この違いが初心者が最もつまずきやすいポイントです。
売却後の非課税保有限度額は「取得価額」ベース
ここが最も重要なポイントです。売却後に再利用できる非課税保有限度額は、売却価格ではなく「取得価額(簿価)」を基準に計算されます。取得価額とは、その商品を購入したときの価格のことです。
⚠ 絶対に間違えないで
「150万円で売ったから150万円分の枠が戻る」ではありません。100万円で買った商品なら、150万円で売却しても、再利用できるのは取得価額100万円分です。値上がり分は枠の再利用額に含まれません。
100万円で買って150万円で売った場合
具体例で見てみましょう。
例
値上がりして売却したケース
100万円で購入 → 150万円に値上がり → 150万円で売却
この場合、50万円の利益が出ます。NISA口座なのでこの利益は非課税です。では、売却後に再利用できる非課税保有限度額はいくらでしょうか。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 取得価額(購入価格) | 100万円 |
| 売却価格 | 150万円 |
| 利益 | 50万円(非課税) |
| 翌年以降に再利用できる非課税保有限度額 | 100万円(取得価額ベース) |
売却価格が150万円でも、再利用できるのは取得価額100万円分です。値上がり分の50万円は「枠の復活」には含まれません。これが「取得価額(簿価)ベース」という意味です。
100万円で買って70万円で売った場合
値下がりして売却したケースも見てみましょう。
例
値下がりして売却したケース
100万円で購入 → 70万円に値下がり → 70万円で売却
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 取得価額(購入価格) | 100万円 |
| 売却価格 | 70万円 |
| 損失 | 30万円 |
| 翌年以降に再利用できる非課税保有限度額 | 100万円(取得価額ベース) |
値下がりして70万円で売却しても、再利用できるのは取得価額100万円分です。「70万円しか戻らない」わけではありません。非課税保有限度額はあくまで取得価額(簿価)ベースで管理されるからです。
ポイント
値上がり・値下がりに関わらず、再利用額は「買ったときの価格(取得価額)」で決まります。これがNISAの非課税保有限度額の基本的なルールです。
売却した年に買い直せる?
「売却したらすぐにまたNISAで買えるのか?」という疑問は非常に多いです。結論から言うと、売却によって空いた非課税保有限度額を利用できるのは翌年以降です。売却した年にその場で枠が復活するわけではありません。
ただし、ここで重要な例外があります。その年にまだ未使用の年間投資枠が残っている場合は、その未使用枠を使って新たに投資できます。これは「売却によって枠が復活した」のではなく、「最初から残っていた枠を使った」のです。
| 状況 | その年に買える? |
|---|---|
| 今年の年間投資枠がまだ残っている | ○ 残り枠で購入可能 |
| 今年の年間投資枠を使い切った | × 売却しても当年の枠は復活しない |
⚠ よくある誤解
「今年360万円使ったけど100万円売ったから、あと100万円買える」というのは間違いです。年間投資枠は売却で復活しません。売却による再利用は翌年以降の非課税保有限度額に対して適用されます。
年間投資枠は復活しない
ここをしっかり区別してください。年間投資枠(年間360万円)は、売却しても復活しません。
| 項目 | 売却で復活? |
|---|---|
| 年間投資枠(年間360万円) | × 復活しない |
| 非課税保有限度額(1,800万円) | ○ 翌年以降に再利用可能 |
「年間360万円投資して100万円売ったから、その年にさらに100万円投資できる」というのは誤解です。売却による再利用は「年間投資枠の復活」ではなく「非課税保有限度額の翌年以降の再利用」であることを覚えておいてください。
年間投資枠の詳細は「NISAの年間投資枠とは」で詳しく解説しています。
1,800万円使い切った場合
非課税保有限度額1,800万円をすべて使った後でも、売却すれば再利用できます。
例
1,800万円フル使用後に売却
1,800万円分の非課税保有限度額を使用 → 取得価額200万円分の商品を売却 → 翌年以降に200万円分の非課税保有限度額を再利用可能
ただし、翌年に投資できる金額は年間投資枠の範囲内です。200万円分の非課税保有限度額が再利用可能になっても、年間投資枠(つみたて120万+成長240万=360万円)を超えて投資することはできません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 再利用可能な非課税保有限度額 | 200万円(取得価額ベース) |
| 翌年に投資できる上限 | 年間投資枠360万円の範囲内 |
生涯投資枠の詳細は「NISAの生涯投資枠とは」で詳しく解説しています。
値上がりして3,000万円になった場合
重要なSEOポイントです。取得価額1,800万円の商品が運用で3,000万円まで値上がりした場合、どうなるでしょうか。
例
値上がりで時価が1,800万円を超えたケース
取得価額1,800万円 → 運用で3,000万円に値上がり
この場合、時価が1,800万円を超えても、それだけで非課税保有限度額超過になるわけではありません。非課税保有限度額は取得価額(簿価)ベースで管理されるため、取得価額1,800万円分であれば、時価が3,000万円になっても超過にはなりません。
結論
値上がりした分(1,200万円分)は、非課税保有限度額を消費しません。NISAのメリットである「値上がり分も非課税」が活きます。ただし、売却後に再利用できる非課税保有限度額も取得価額1,800万円分であり、時価3,000万円分が戻るわけではありません。
つみたて投資枠を売却した場合
つみたて投資枠で購入した商品を売却した場合、売却によって空いた非課税保有限度額は翌年以降に再利用できます。ただし、これと翌年の年間120万円のつみたて投資枠を混同しないように注意してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売却による再利用 | 取得価額分の非課税保有限度額が翌年以降に再利用可能 |
| 翌年の年間投資枠 | 毎年新たに120万円(つみたて投資枠)が付与 |
つみたて投資枠の売却による再利用は「非課税保有限度額の再利用」であり、「年間120万円の枠が増える」わけではありません。つみたて投資枠の詳細は「NISAのつみたて投資枠の限度額」で解説しています。
成長投資枠を売却した場合
成長投資枠で購入した日本株・投資信託・ETF等を売却した場合も同様です。売却による再利用は非課税保有限度額に対して適用されます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 成長投資枠の年間投資上限 | 240万円 |
| 成長投資枠の非課税保有限度額 | 1,200万円 |
成長投資枠には年間240万円の投資上限と非課税保有限度額1,200万円の上限があります。売却すると取得価額分の非課税保有限度額が翌年以降に再利用可能になりますが、年間240万円の枠が復活するわけではありません。成長投資枠の詳細は「NISAの成長投資枠の限度額」で解説しています。
売却→再投資シミュレーション
4つのケースを比較表で整理します。再利用額はすべて取得価額ベースであることが一目で分かります。
| ケース | 取得価額 | 売却価格 | 利益/損失 | 再利用可能額 |
|---|---|---|---|---|
| A(値上がり) | 100万円 | 150万円 | +50万円 | 100万円 |
| B(値下がり) | 100万円 | 70万円 | −30万円 | 100万円 |
| C(値上がり) | 300万円 | 500万円 | +200万円 | 300万円 |
| D(値下がり) | 300万円 | 200万円 | −100万円 | 300万円 |
※再利用可能額は翌年以降の非課税保有限度額の再利用であり、当年の年間投資枠の復活ではありません。投資には元本割れの可能性があります。
一目で分かるポイント
どのケースでも、再利用可能額は「取得価額」と一致しています。売却価格(利益・損失)にかかわらず、再利用額は取得価額ベースで決まります。
売却するメリット
NISA口座の商品を売却するメリットには以下があります。
- 現金化できる:必要なタイミングで資金を調達できる
- 利益確定できる:値上がり分を非課税で確定できる
- 資産配分を見直せる:リバランスや銘柄の入れ替えが可能
- 非課税保有限度額を翌年以降に再利用できる:取得価額分の枠が戻る
- ライフイベントに合わせて取り崩せる:住宅購入・教育資金・老後資金など
特に「値上がり分を非課税で確定できる」のはNISAならではのメリットです。課税口座では利益に約20.315%の税金がかかりますが、NISAではゼロです。
売却するデメリット・注意点
一方で、売却には以下の注意点があります。
- その年の年間投資枠は復活しない:売却しても当年の年間360万円の枠は増えない
- 長期運用を途中で止めることになる:複利効果を活かせなくなる可能性
- 値上がり後に買い戻せない可能性:売却後に価格が上がると、同じ金額で買い戻せない
- 売却タイミングを予測するのは難しい:市場の動きを予測するリスク
- 短期売買目的でNISAを使うと制度メリットを活かしにくい:NISAは長期運用向けの制度
⚠ 注意
NISAは長期・積立・分散投資を前提とした制度です。短期の値動きを狙った売買を繰り返すと、かえってリスクが高まります。売却を考えるときは「本当に今売る必要があるか」を冷静に判断しましょう。
損して売る場合については「NISAで損したらどうなる?」で詳しく解説しています。暴落時の対応は「NISAで暴落した場合の対応」もご参照ください。
いつ売ればいい?
売却タイミングは投資家の目的・ライフイベントによって異なります。本記事では制度の仕組み解説に専念し、売却タイミング・老後の取り崩し・出口戦略の詳細は別記事で解説しています。
売却タイミング・出口戦略の詳細は「NISAの出口戦略とは」で詳しく解説しています。
売却時の税金・確定申告
NISA口座での売却益は原則として確定申告不要です。NISA口座内の利益は非課税のため、申告する税金がありません。ただし、NISA以外の所得や取引がある場合は別途確認が必要です。
売却益と確定申告の詳細は「NISAで確定申告は必要?」で詳しく解説しています。
売却で損した場合
NISA口座内で損失が出た場合、損益通算・繰越控除はできません。これはNISAの制度上の制限です(国税庁No.1535)。損益通算・繰越控除の詳細はNo.058「NISAで確定申告は必要?」で解説しています。本記事では税務解説を広げすぎず、制度の仕組みに焦点を当てます。
旧NISAとの違い
旧NISAと新NISAでは、売却後の投資枠の考え方が異なります。混同しないよう比較表で整理します。
| 項目 | 旧NISA | 新NISA(2024〜) |
|---|---|---|
| 非課税保有限度額 | 最大1,200万円 | 1,800万円 |
| 売却後の枠の再利用 | 非課税投資枠の再利用(年間枠) | 非課税保有限度額の翌年以降再利用 |
| 再利用の基準 | 年間投資枠ベース | 取得価額(簿価)ベース |
| 再利用の時期 | 売却した翌年 | 翌年以降 |
| 恒久化 | 期限あり(2023年終了) | 恒久化 |
※2026年時点で保有されている旧NISA商品は、現行NISAの非課税保有限度額とは別管理です。旧NISAの非課税期間終了後は、課税口座に移行されます。金融庁の最新公式情報をご確認ください。
初心者がやりがちな勘違い(○×表)
| 考え方 | 正誤 |
|---|---|
| 150万円で売ったら150万円枠が戻る | × |
| 100万円で買った商品なら取得価額100万円分が基準 | ○ |
| 売った瞬間に枠が戻る | × |
| 翌年以降に再利用できる | ○ |
| 年間360万円使ったあと100万円売れば、その年に460万円投資できる | × |
| 値上がりして1,800万円を超えたら課税される | × |
| NISAは一度売ったら二度と枠を使えない | × |
解説
「売却価格=再利用額」ではないこと、「当年の年間投資枠は復活しない」こと、「値上がり分は枠を消費しない」ことの3点が最も間違いやすいポイントです。
よくある質問
- Q. NISAを売却すると枠は復活する?
- A. 非課税保有限度額は、取得価額(簿価)ベースで翌年以降に再利用可能です。ただし年間投資枠は復活しません。
- Q. NISAの枠はいつ復活する?
- A. 売却した翌年以降です。売却した当年にその場で復活するわけではありません。
- Q. 売った年に買い直せる?
- A. その年に未使用の年間投資枠が残っていれば、その枠で購入可能です。ただし売却したからといって、当年の年間投資枠が戻るわけではありません。
- Q. 100万円売ったら100万円戻る?
- A. 取得価額100万円分の商品を売却した場合、翌年以降に100万円分の非課税保有限度額が再利用可能です。売却価格が100万円であっても、取得価額が基準になります。
- Q. 利益が出た分も枠が戻る?
- A. いいえ。値上がり分(利益)は非課税保有限度額の再利用には含まれません。再利用額は取得価額ベースです。
- Q. 損して売った場合はどうなる?
- A. 値下がりして売却しても、再利用できるのは取得価額分です。ただしNISAの損失は損益通算・繰越控除の対象外です。
- Q. 売却価格と取得価格どちらが基準?
- A. 取得価額(簿価)が基準です。売却価格ではありません。
- Q. 1,800万円使い切ったら終わり?
- A. いいえ。売却すれば取得価額分の非課税保有限度額が翌年以降に再利用可能です。ただし年間投資枠の範囲内での投資になります。
- Q. 1,800万円投資して3,000万円になったらどうなる?
- A. 時価が1,800万円を超えても、取得価額ベースであれば非課税保有限度額超過にはなりません。値上がり分は枠を消費しません。
- Q. 年間360万円の枠も復活する?
- A. いいえ。年間投資枠は売却で復活しません。毎年新たに360万円(つみたて120万+成長240万)が付与されます。
- Q. つみたて投資枠を売ったらどうなる?
- A. 取得価額分の非課税保有限度額が翌年以降に再利用可能です。翌年の年間120万円の枠とは別物です。
- Q. 成長投資枠を売ったらどうなる?
- A. 取得価額分の非課税保有限度額が翌年以降に再利用可能です。成長投資枠の非課税保有限度額1,200万円の範囲内で管理されます。
- Q. 売却後すぐ再投資できる?
- A. 当年中は未使用の年間投資枠が残っていれば購入可能です。売却による非課税保有限度額の再利用は翌年以降です。
- Q. NISAで何回も売買できる?
- A. 可能です。ただしNISAは長期運用向けの制度であり、短期売買を繰り返すと制度メリットを活かしにくくなります。
- Q. 売却したら確定申告は必要?
- A. NISA口座の売却益は原則確定申告不要です。詳細は「NISAで確定申告は必要?」をご参照ください。
- Q. 旧NISAを売却した場合は?
- A. 旧NISAと新NISAは別管理です。旧NISAの売却後の枠の扱いは旧NISAのルールに従います。
監修・参照情報
本記事は以下の公的情報を参照して作成しています(2026年9月時点)。
- 金融庁「NISA特集」
- 金融庁「新NISAのしくみ」
- 国税庁「No.1535 NISA制度」
- 国税庁「No.1474 上場株式等の譲渡損失の繰越控除」
※本記事は情報提供を目的としており、特定の売却タイミングや投資行動を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。税務処理の詳細は税務署または税理士等の専門家にご相談ください。