📌 30秒で分かる結論
- NISAは税制優遇制度であり「安全な金融商品」ではありません。投資信託・ETF・個別株は価格が下落します
- 暴落したら「すぐ売却」ではなく、投資目的・運用期間・保有商品・生活資金・リスク許容度を確認することが重要
- 「暴落=絶対に買い」「持っていれば必ず戻る」という断定はできません。個人の状況によって判断が異なります
- NISA口座の損失は課税口座との損益通算・繰越控除ができません(詳細)
- 事前に生活防衛資金の確保・投資目的の明確化・暴落時の行動ルールを決めておくことが重要です
NISAで暴落したらどうする?
NISAで投資をしている方にとって、株価の暴落は大きな不安につながります。「売った方がいい?」「積立を止めるべき?」と迷う場面も多いでしょう。
しかし、株価が下落したからといって「すぐに売却する」ことが正解とは限りません。以下の5つのポイントを順番に確認することが重要です。
暴落時に確認すべき5つのポイント
- なぜ投資しているのか(投資目的の確認)
- いつ使うお金なのか(運用期間の確認)
- 保有商品の投資対象は何か(商品内容の確認)
- 生活資金は確保できているか(生活防衛資金の確認)
- 当初の投資方針が変わったか(方針見直しの必要性)
これらを確認した上で判断することが、感情に流されない投資行動につながります。ただし、「長期投資なら必ず回復する」と断定することはできません。あくまで自分の状況に合わせた判断が必要です。
そもそも株価の暴落とは?
「暴落」という言葉に明確な定義はありませんが、一般的には短期間で株価が大きく下落することを指します。市場全体が大きく下落する場面や、特定のセクター・銘柄が急落する場面などがあります。
株価は日々変動するものですが、特に国内外の経済情勢・金融政策の変化・地政学的リスク・パニック的な売り込みなどによって、短期的に大きく下落することがあります。
NISAで投資信託やETFを保有している場合、その基準価額や価格が連動する対象(株価指数など)の下落に伴って、評価額が下がることになります。
NISAでも元本割れする
⚠️ 重要なポイント
NISAは税制優遇制度であり、「安全な金融商品」ではありません。NISAで購入した投資信託・ETF・個別株などは、価格が下落する可能性があります。
NISA口座で購入できる商品は、預貯金のような元本保証型ではありません。投資信託・ETF・個別株などはすべて価格変動リスクがあり、投資元本を割り込む(元本割れする)可能性があります。
NISAはあくまで「利益に対する税金を非課税にする制度」であり、利益を保証する制度ではありません。この点を理解した上で投資することが重要です。
NISAで損失が発生した場合の税金上の取り扱いについては、NISAで損することはある?損失・税金・損益通算を解説で詳しく解説しています。
含み損と確定損の違い
暴落時の判断において、「含み損」と「確定損」の違いを理解することが重要です。
具体例
100万円投資 → 80万円に下落した場合
この時点では「含み損20万円」です。まだ売却していないため、損失は確定していません。価格が戻れば評価損は縮小し、プラスに転じる可能性もあります。
一方、80万円で売却した場合、損失が「確定」します。これが「確定損」です。売却した時点で損失が確定し、その後価格が戻っても利益にはつながりません。
つまり、含み損の状態では「損失が確定していない」ため、まだ選択肢があります。売却して確定損にするか、保有し続けるか、積立を継続するかなど、自分の状況に合わせて判断することになります。
暴落時にやってはいけないこと
暴落時には感情的になりやすく、後悔する行動をとってしまうことがあります。以下は代表的な「やってはいけないこと」です。
⚠️ 暴落時に避けるべき行動
- パニックになって全額売却:感情的な売却は、底値で売ることにつながりやすく、その後の回復局面で利益を逃す可能性があります
- SNSの情報だけで判断:SNS上の情報は不正確・誇張されている場合があり、投資判断の根拠として不十分です
- 生活費を使って買い増す:生活に必要な資金を投資に回すと、生活が破綻するリスクがあります
- 借金して投資する:借入金での投資は、損失が発生した場合に返済能力に影響を及ぼす可能性があります
- 投資方針を毎日変更:方針を頻繁に変えると、手数料がかさみ、一貫性のない投資になります
- 下落率だけを見て商品を乗り換える:下落率だけで乗り換えると、回復局面で売ることにつながる可能性があります
- 「必ず戻る」と考えて無条件に買い増す:過去の回復は将来の回復を保証しません。余裕資金かどうかの確認が重要です
それぞれについて「なぜ問題になり得るか」を理解しておくことで、暴落時により冷静な判断ができるようになります。
積立投資は止めるべき?
暴落時に「積立を止めるべきか」と迷う方は多いですが、価格下落だけを理由に積立を停止する必要があるとは限りません。
積立投資は「ドルコスト平均法」と呼ばれる手法で、価格が下落している時期に積立を継続することで、より多くの口数を取得できる仕組みがあります。ただし、これは「積立なら必ず利益になる」という意味ではありません。
一方で、以下のような家計側の事情が変化した場合は、積立額の減額・停止を検討することも合理的です。
- 収入が減った
- 生活費が増えた
- 教育費が必要になった
- 生活防衛資金が不足している
つまり、「暴落だから止める」ではなく、「家計状況が変わったから見直す」という判断が重要です。積立額の決め方については、NISAで毎月いくら積み立てる?で詳しく解説しています。
暴落時に売却するべき?
暴落時に売却すべきかどうかは、一律に断定できません。以下のポイントを確認した上で判断することが重要です。
売却を検討する際の確認ポイント
- 投資目的:当初の目的は達成できたか、あるいは変更が必要か
- 運用期間:使う予定の時期までどのくらい期間があるか
- 保有商品:インデックス投資か個別株かで対応が異なる
- 生活資金:生活防衛資金は確保できているか
- リスク許容度:これ以上の下落に耐えられるか
一括投資と積立投資ではリスクの捉え方も異なります。一括投資と積立投資の違いも参考にしてください。
暴落時の買い増しはあり?
「暴落=絶好の買い場」と断定することはできません。価格がさらに下落する可能性もあり、過去の回復が将来の回復を保証するわけではないからです。
買い増しを検討する場合は、以下の条件を確認することが重要です。
- 余裕資金か:生活費・生活防衛資金以外の資金であること
- 生活防衛資金は十分か:生活防衛資金を切り崩して買い増していないか
- 投資期間を確保できるか:回復を待つ期間が確保できるか
- リスク許容度を超えていないか:これ以上下落しても耐えられるか
これらの条件を満たさない買い増しは、かえってリスクを高める可能性があります。
オルカンが暴落したら?
オルカン(全世界株式インデックスファンド)は世界中の株式に分散投資していますが、「全世界分散=暴落しない」ではありません。世界的な株安が起きれば、全世界株式も大きく下落する可能性があります。
オルカンは分散投資によって単一国・単一セクターのリスクを軽減しますが、株式市場全体が下落する局面では分散効果が限定的になります。
オルカンについての基本はオルカンとは?で、オルカンだけでいいかはNISAはオルカンだけでいい?で詳しく解説しています。
S&P500が暴落したら?
S&P500インデックスファンドは米国の大型株500社に投資するもので、株式なので大きく下落する可能性があります。
また、S&P500は米国株式市場への集中度が高いことも特徴です。米国市場の下落がそのまま投資成果に反映されるため、米国経済の動向に大きく影響を受けます。
S&P500についての基本はS&P500とは?で詳しく解説しています。
個別株が暴落したら?
個別株の暴落は、インデックス投資とは対応が異なる可能性があります。
個別企業の場合、以下のような企業固有の問題によって株価が下落している可能性があります。
- 業績悪化
- 不祥事
- 競争力低下
- 財務悪化
- 減配
- 倒産
インデックス投資と異なり、個別株は「下がったら持ち続ければいい」と一律に考えることはできません。企業の業績や財務状況を確認し、保有を続けるべきか判断する必要があります。
個別株投資についてはNISAで個別株はあり?で詳しく解説しています。
高配当株が暴落したら?
高配当株が暴落した場合、株価下落によって表面的な配当利回りが高く見える場合があります。しかし、高利回りだけで買い増すのは危険です。
配当利回りは「配当金÷株価」で計算されるため、株価が下落すれば利回りが上がります。しかし、配当金自体が減額(減配)されれば、実際の利回りは低下します。
買い増しを検討する場合は、以下を確認することが重要です。
- 業績:売上・利益は順調か
- キャッシュフロー:配当を支払う資金はあるか
- 配当性向:利益に対する配当の割合は適切か
- 過去の配当:減配歴はないか
- 減配可能性:今後減配される可能性はないか
高配当株投資についてはNISAで高配当株はあり?で詳しく解説しています。
過去の暴落から分かること
過去に発生した代表的な暴落を紹介します。ただし、「過去に回復したから次も必ず回復する」という保証はありません。あくまで参考として捉えてください。
ITバブル崩壊(2000年〜)
2000年以降、IT関連株を中心に世界的な株価下落が発生しました。日経平均株価は長期的な下落トレンドに入り、回復までに長期間を要しました。個別のIT株の中には回復しなかった銘柄もあります。
リーマンショック(2008年)
2008年のリーマンブラザーズ破綻を契機に、世界的な金融危機が発生し、主要な株価指数が大きく下落しました。回復まで数年を要しましたが、回復のタイミングや程度は市場や銘柄によって異なりました。
コロナショック(2020年)
2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、短期間で世界的な株価下落が発生しました。その後比較的速いペースで回復した市場もありましたが、これは特定時期の特定要因によるものであり、同様の回復が常に起こる保証はありません。
注意:過去の回復の事実は、将来の回復を保証するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。
暴落シミュレーション
資産500万円の場合、下落率に応じて評価額がどう変化するかを示します。
| 下落率 | 評価額 | 損失額 |
|---|---|---|
| 10% | 450万円 | 50万円 |
| 20% | 400万円 | 100万円 |
| 30% | 350万円 | 150万円 |
| 40% | 300万円 | 200万円 |
| 50% | 250万円 | 250万円 |
⚠️ 重要:回復に必要な上昇率
50%下落した資産が元に戻るには、50%上昇ではなく100%上昇が必要です。例:500万円→250万円(50%下落)→500万円に戻るには250万円の上昇=100%上昇が必要。
このように、下落率と回復に必要な上昇率は同じではありません。下落が大きいほど、回復に必要な上昇率はより大きくなります。
暴落に備えて事前にできること
暴落に備えて、事前にできる対策を紹介します。
- 生活防衛資金を確保:生活費3〜6ヶ月分程度の現金を確保する
- 近い将来使うお金を投資しない:数年以内に使う予定のお金は投資に回さない
- 分散投資:単一銘柄・単一国への集中投資を避ける
- 自分のリスク許容度を確認:どの程度の下落なら耐えられるか把握しておく
- 積立額を無理のない範囲にする:生活を圧迫しない金額に設定する
- 投資目的を決めておく:なぜ投資しているのかを明確にする
- 暴落時の行動ルールを事前に決める:感情的にならないためのルールを設定する
NISA運用の基本についてはNISA運用の基本を初心者向けに解説で詳しく解説しています。
自分は何%下落まで耐えられる?
以下のセルフチェックで、自分のリスク許容度を考えてみましょう。これは投資判断を自動的に決定するものではなく、考えるための参考ツールです。
セルフチェック
100万円 → 70万円になった場合(30%下落)
あなたはどう感じるでしょうか?
- A:怖くてすぐ売りたい→リスク許容度が低い可能性があります。株式比率の見直しを検討してみましょう
- B:積立だけ継続できそう→ある程度のリスク許容度がある可能性があります。ただし無理は禁物です
- C:余裕資金なら追加投資も検討できる→リスク許容度が高い可能性があります。ただし余裕資金かどうかの確認が必須です
※このセルフチェックは参考ツールであり、投資判断を代行するものではありません。
年代によって対応は違う?
暴落時の対応は、年代によっても異なる側面があります。ただし、年代だけで投資判断を決めることはできません。個人の家計状況・運用期間・リスク許容度を総合的に考えることが重要です。
20代・30代
運用期間を長く取れる可能性がある年代です。ただし「長期なら必ず回復する」と断定はできません。生活防衛資金の確保と無理のない積立額が重要です。
40代
教育費・住宅ローン・老後資金とのバランスを考える必要がある年代です。家計支出が大きくなりやすいため、積立額の見直しも含めて検討しましょう。(40代のNISA詳細)
50代
資産を使い始める時期までの期間を確認する必要がある年代です。株式比率の見直しを検討するタイミングでもあります。
60代以降
取り崩し中の暴落についても考える必要がある年代です。取り崩し戦略についてはNISAの出口戦略で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. NISAが暴落したらどうする?
A. すぐ売却ではなく、投資目的・運用期間・保有商品・生活資金・リスク許容度を確認することが重要です。
Q. NISAでマイナスになったら売るべき?
A. 一律に断定できません。含み損の状態で売却すると確定損になります。5つの確認ポイントを検討しましょう。
Q. 暴落したら積立を止めるべき?
A. 価格下落だけが理由なら停止の必要はない可能性があります。ただし家計状況が変化した場合は見直しが合理的です。
Q. 暴落時に買い増ししてもいい?
A. 余裕資金か、生活防衛資金は十分か、投資期間を確保できるか、リスク許容度を超えていないかを確認する必要があります。
Q. NISAで50%下落することはある?
A. 過去に大きな下落があった事実はありますが、将来の下落幅を断定することはできません。投資には元本割れの可能性があります。
Q. オルカンが暴落したらどうする?
A. 全世界分散しても世界的株安では下落する可能性があります。「全世界分散=暴落しない」ではありません(詳細)。
Q. S&P500が暴落したらどうする?
A. S&P500も株式なので大きく下落する可能性があります。米国市場への集中度が高いことも留意が必要です(詳細)。
Q. 個別株が暴落したらどうする?
A. 企業固有の問題(業績悪化・不祥事・倒産等)の可能性があり「下がったら持ち続ける」と一律に考えないことが重要です(詳細)。
Q. NISAで損したら税金はどうなる?
A. NISA口座の損失は課税口座の利益との損益通算ができず、繰越控除もできません(詳細)。
Q. 暴落から回復するまで何年かかる?
A. 過去の事例では数年かかったケースもありますが、将来の回復期間を断定することはできません。
Q. 暴落前に売った方がいい?
A. 暴落を事前に予測することは困難です。タイミングを図る投資は成功率が低いとされています。
Q. 暴落を予測することはできる?
A. 暴落のタイミングを正確に予測することは困難です。事前の備え(生活防衛資金・行動ルール)が重要です。
Q. 現金はいくら残しておくべき?
A. 一般的に生活費3〜6ヶ月分程度が目安とされていますが、個人の状況によって異なります。
まとめ
📌 記事のポイント
- NISAは税制優遇制度であり「安全な金融商品」ではありません。元本割れする可能性があります
- 暴落時は「すぐ売却」ではなく、投資目的・運用期間・保有商品・生活資金・リスク許容度を確認する
- 「暴落=絶対に買い」「必ず回復する」と断定はできません
- NISA口座の損失は損益通算・繰越控除ができません(詳細)
- 事前に生活防衛資金の確保・行動ルールの決定をしておくことが重要
- 50%下落の回復には100%上昇が必要。下落率と回復率は同じではない
積立を停止・減額を検討中の方へ
積立を止めたら保有商品はどうなる?年間枠はどうなる?→ NISAの積立を停止したらどうなる?で詳しく解説