⚡ 30秒で分かる結論
NISA口座で得た利益は原則として確定申告不要です。ただし「NISAを使っているから絶対に申告不要」とは限らず、NISA以外の所得や取引によっては申告が必要になる場合があります。本記事でケース別に整理します。
ケース別早見表
| ケース | 申告要否 | 補足 |
|---|---|---|
| NISAで投資信託を売却して利益 | ○ 不要 | 非課税のため |
| NISAで国内株を売却して利益 | ○ 不要 | 非課税のため |
| NISAで国内株の配当(株式数比例配分方式) | ○ 不要 | 受取方法の設定が必須 |
| NISAで国内株の配当(その他の受取方式) | △ 要確認 | 非課税扱いにならない |
| NISAで損失 | × 不可 | 損益通算・繰越控除対象外 |
| NISAで米国株の配当 | △ 要確認 | 米国課税10%は引かれる |
| NISA+特定口座を利用 | △ 特定口座側による | 特定口座の条件で判断 |
| NISA以外に副業・その他所得がある | △ 要確認 | 所得額により申告が必要 |
※○=原則不要、△=条件により要確認、×=制度上不可。個別の事情により申告要否が変わる場合があります。詳細は税務署または税理士等の専門家にご確認ください。
NISAで確定申告は必要?
結論から言うと、NISA口座内で得た利益(売却益・配当金等)については、原則として確定申告は不要です。NISAは「少額投資非課税制度」であり、口座内で発生した利益に対する所得税・住民税が非課税となるため、申告の必要がないのです。
ただし、ここで注意したいのが「NISAを使っているから確定申告は一切不要」とは限らないという点です。NISA口座そのものの利益は非課税ですが、NISA以外の所得や取引(給与以外の副業所得、課税口座での株式取引など)がある場合は、それらによって確定申告が必要になることがあります。
つまり「NISAの利益の申告」ではなく「NISA以外の所得の申告」が問題になる、というのが正確な理解です。
なぜNISAは原則確定申告不要なの?
NISA口座内の利益が確定申告不要な理由は、利益そのものに税金がかからないからです。通常、株式や投資信託の利益には約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税金がかかります。しかしNISA口座では、この税金がゼロになります。
確定申告とは「1年間の所得を計算し、税金を精算する手続き」です。利益に税金がかからないNISA口座では、申告して計算すべき税金がないため、原則として申告の必要がありません。
ポイント
ただし「NISAを利用している=確定申告絶対不要」ではありません。NISA以外の所得や取引によっては申告が必要です。本記事後半で詳しく解説します。
NISAで投資信託を売却した場合
NISA口座(つみたて投資枠・成長投資枠とも)で保有していた投資信託を売却し、利益が出た場合を見てみましょう。
例
100万円で購入 → 130万円で売却 → 30万円の利益
この30万円の利益は非課税です。通常の課税口座であれば約6万円の税金が引かれますが、NISA口座では税金0円。したがって、この利益について確定申告する必要はありません。
売却後のNISA投資枠の扱い(枠の復活)については、別記事「NISAの成長投資枠の限度額と枠の復活」で詳しく解説しています。
NISAで株を売却した場合
NISAの成長投資枠で国内個別株を購入し、売却益が発生した場合も同様です。利益は非課税で、確定申告不要です。
| 項目 | NISA口座 | 課税口座 |
|---|---|---|
| 売却益への課税 | 非課税(0円) | 約20.315% |
| 確定申告 | 原則不要 | 条件により必要 |
| 損益通算 | 不可 | 可能 |
個別株のNISAでの取扱については「NISAで個別株は買える?成長投資枠でできること」もご参照ください。
NISAで配当金を受け取った場合
NISA口座で保有している国内上場株式の配当金も、原則として非課税です。ただし、ここには重要な注意点があります。それは配当金の受取方法によって非課税扱いが変わるということです。
配当金の受取方法に注意
NISA口座で配当金を非課税で受け取るには、「株式数比例配分方式」で配当金を受け取る必要があります。これは、配当金を証券会社の取引口座で直接受け取る方式です。
⚠ 重要
NISA口座であっても、株式数比例配分方式以外の受取方法(郵便局・銀行口座受取など)を選択していると、配当金に約20.315%の税金がかかります。NISAの非課税メリットが活かせません。
| 受取方法 | NISA非課税 |
|---|---|
| 株式数比例配分方式(証券口座で受取) | ○ 非課税 |
| 郵便局・銀行口座で受取 | × 課税される |
| 登録配当金受領機関方式 | × 課税される |
※投資信託の分配金は受取方法の設定に関わらず、NISA口座で保有していれば自動的に非課税となります。株式数比例配分方式の設定は不要です。
株式数比例配分方式の設定は、証券会社のWebサイト(My設定や配当金受領サービス画面)から変更できます。配当基準日までに手続きを完了する必要があるため、早めの設定をおすすめします。
配当金を非課税で受け取る設定の詳細は「NISAで配当金を非課税にする方法」で詳しく解説しています。
NISAで損失が出た場合
NISA口座で損失が出た場合、税務上どう扱われるのかを見てみましょう。
例
100万円で購入 → 70万円で売却 → 30万円の損失
この30万円の損失について、NISA口座では損益通算も繰越控除もできません。これは国税庁のNISA制度(No.1535)で明確に定められています。
国税庁の見解
NISA口座内の上場株式等を売却したことにより生じた損失については、特定口座や一般口座で保有する上場株式等の配当等や譲渡益との損益通算や、繰越控除をすることはできません。(国税庁No.1535 NISA制度より)
NISAの損失は損益通算できる?
結論:できません。 NISA口座の損失は、以下のいずれとも損益通算できません。
- 特定口座の利益(譲渡益・配当金)
- 一般口座の利益
- 他の証券会社の課税口座の利益
また、NISA口座の損失を翌年以降に繰り越す「繰越控除」もできません(国税庁No.1474)。
⚠ よくある誤解
「NISAで損したから確定申告すれば税金が戻る」というのは間違いです。NISAの損失は損益通算・繰越控除の対象外のため、申告しても税金は戻りません。
理由は、NISAは「利益が非課税」という特別な恩恵を受ける代わりに、「損失が出ても税務上の救済措置(損益通算・繰越控除)は受けない」という制度だからです。
NISAと特定口座を併用している場合
「NISAで投資信託を積み立てつつ、特定口座でも日本株を売買している」というケースは非常に多いです。この場合、NISA口座の利益と特定口座の利益は別々に考える必要があります。
| 口座 | 確定申告 |
|---|---|
| NISA口座の利益 | 原則不要 |
| 特定口座(源泉徴収あり)の利益 | 原則不要 |
| 特定口座(源泉徴収なし)の利益 | △ 条件により必要 |
源泉徴収ありの特定口座は、証券会社が自動的に税金を計算・納付してくれるため、原則として確定申告不要です(年間取引報告書が発行され、確定申告不要制度の適用を受けられます)。
一方、源泉徴収なしの特定口座は、証券会社は年間取引報告書を作成しますが税金の源泉徴収は行いません。給与所得者の場合、株式等の譲渡所得が年間20万円以下であれば申告不要ですが、20万円を超える場合は確定申告が必要です。
ポイント
NISAを持っていること自体が、特定口座側の確定申告の要否に影響を与えることはありません。NISAと特定口座は独立して考えます。
特定口座とNISAの違いの詳細は「NISAと特定口座の違い」で詳しく解説しています。証券会社選びについては「NISA口座おすすめランキング」もご参照ください。
NISAと一般口座を併用している場合
一般口座(源泉徴収なしの課税口座)で取引している場合は、NISAとは別に税務上の確認が必要です。一般口座の利益は非課税ではないため、以下の条件によって確定申告が必要になる場合があります。
- その年の所得金額
- 株式等の譲渡益の金額
- 他の所得(給与・副業など)の有無
- 職業(会社員・個人事業主など)
会社員で給与所得のみの場合、株式等の譲渡所得が年間20万円以下であれば申告不要制度が使えます。ただしこれは一つの目安であり、個別の事情により判断が異なります。具体的な申告要否は税務署または税理士等の専門家にご確認ください。
NISAで米国株を買った場合
NISAの成長投資枠で米国株や海外ETFを保有する場合、売却益と配当金で税金の扱いが異なります。ここは非常に重要なので、日本国内の課税と外国での課税を分けて理解してください。
米国株の配当と外国税
米国株の配当金には、2段階の課税が関係します。
| 課税の段階 | NISA口座 | 課税口座 |
|---|---|---|
| ①米国での源泉徴収 | 10%引かれる | 10%引かれる |
| ②日本での課税 | 非課税(0%) | 約20.315% |
※米国での源泉徴収税率は、日米租税条約によりW-8BEN提出済みの場合は10%。未提出の場合は30%。
⚠ 重要
「NISAだから米国株の配当も完全に税金ゼロ」というのは間違いです。米国での源泉徴収(10%)はNISA口座でも引かれます。NISAで非課税になるのは日本国内の課税のみです。
一方、米国株の売却益については、NISA口座であれば日本国内の税金が非課税になります。米国では売却益に対する源泉徴収は行われません(米国の税制上、非居住者の株式譲渡益は米国で非課税)。したがって、NISA口座での米国株の売却益は実質的に税金ゼロです。
外国税額控除は使える?
外国税額控除とは、外国で源泉徴収された税金を、日本の所得税から控除して二重課税を防ぐ制度です。通常の課税口座であれば、米国株の配当に対して米国で10%引かれた税金を、確定申告で外国税額控除として取り戻すことができます。
しかし、NISA口座では外国税額控除の適用を受けることができません。これは各証券会社の公式情報でも確認されています。
理由
外国税額控除は「日本で課税された所得税」から外国税を控除する制度です。NISA口座では日本国内で所得税が課税されない(非課税)ため、控除すべき所得税がなく、外国税額控除の適用対象外となります。
※楽天証券「外国税額控除」の公式説明:国内で非課税とされた配当所得(NISA口座で保有している株式の配当金)については、二重課税となりませんので、外国税額控除の適用を受けることができません。
※マネックス証券「米国株の税金」の公式説明:非課税取引(NISA)については、損益通算並びに外国税額控除の対象外となります。
つまり、NISA口座で米国株の配当を受け取ると、米国で源泉徴収された10%の税金は取り戻せません。これが「NISAで米国株の配当は完全非課税ではない」という理由です。ただし、日本国内の約20.315%の課税は免除されるため、課税口座で保有するよりは税金負担が軽くなります。
米国株や高配当株のNISAでの活用については「NISAで高配当株」「NISAで高配当ETF」もご参照ください。
確定申告が必要になる可能性があるケース
NISAそのものではなく、以下のような周辺ケースに該当する場合は確定申告が必要になる可能性があります。
| ケース | 申告要否 |
|---|---|
| 一般口座で利益がある | △ 条件により必要 |
| 特定口座(源泉徴収なし)を利用 | △ 条件により必要 |
| 給与以外の所得がある(副業など) | △ 条件により必要 |
| 外国株など特殊な税務処理が関係 | △ 要確認 |
| NISA対象外の取引がある | △ 条件により必要 |
なお、所得税の申告が不要であっても住民税の申告が必要なケースがあり得るなど、個別事情により扱いが異なります。具体的な申告要否は税務署または税理士等の専門家にご確認ください。
会社員・個人事業主の場合
会社員の場合
「会社員でNISAだけやっているなら確定申告は不要?」という疑問にお答えします。NISA口座の利益だけであれば、確定申告は不要です。NISAの利益は非課税で、給与所得とは別個に扱われます。
ただし、以下のような場合は確定申告が必要になる可能性があります。
- 給与以外の所得(副業・株式の譲渡益等)が年間20万円を超える
- 課税口座(一般口座や源泉徴収なしの特定口座)で利益がある
- 医療費控除などで還付を受けたい
「NISAだけ」であれば申告不要ですが、それ以外の所得や控除によっては申告の対象になります。
個人事業主の場合
個人事業主やフリーランスの方は、通常、事業所得について確定申告を行います。しかし、NISA口座内の利益は非課税のため、事業所得の申告に含める必要はありません。「個人事業主だからNISAの利益も申告する」というのは誤解です。
NISA口座の利益は非課税であり、事業所得とは別物です。ただし、NISA以外の課税口座での取引利益などは、通常の確定申告に含めて処理する必要があります。
NISAと確定申告 ○×表
| ケース | 申告要否 |
|---|---|
| NISAで売却益 | ○ 原則申告不要 |
| NISAの投資信託の分配金 | ○ 原則申告不要 |
| NISAで損失 | × 損益通算不可 |
| NISAの損失を翌年へ繰越 | × 原則不可 |
| NISA+特定口座 | △ 特定口座側の条件による |
| NISA+一般口座 | △ 一般口座側の条件による |
| 米国株配当 | △ 外国課税に注意 |
| NISA口座での外国税額控除 | × 適用不可 |
初心者がやりがちな勘違い
❌ 勘違い1:NISAを持っているだけで確定申告が必要
NISA口座の利益自体は非課税で申告不要。NISA以外の所得がなければ申告の必要はありません。
❌ 勘違い2:NISAの利益を給与所得と合算する
NISAの利益は非課税であり、給与所得とは別物です。合算して申告する必要はありません。
❌ 勘違い3:NISAで損したら損益通算できる
NISAの損失は損益通算不可(国税庁No.1535)。申告しても税金は戻りません。
❌ 勘違い4:NISAの損失を繰越控除できる
NISAの損失は繰越控除も不可(国税庁No.1474)。
❌ 勘違い5:配当の受取方法は何でも非課税
株式数比例配分方式以外だと約20%課税されます。設定要確認。
❌ 勘違い6:米国株の配当も完全非課税
米国での源泉徴収10%は引かれます。NISAで非課税なのは日本国内の課税のみ。
❌ 勘違い7:NISAを使っていれば他の所得も申告不要
NISAと他の所得の申告要否は別問題。NISA以外の所得によっては申告が必要です。
よくある質問
- Q. NISAは確定申告が必要?
- A. NISA口座内の利益は原則として非課税のため、確定申告は不要です。ただしNISA以外の所得がある場合は別途確認が必要です。
- Q. 新NISAで利益が出たら確定申告する?
- A. 新NISA口座内の利益も非課税のため、原則として確定申告不要です。
- Q. NISAで100万円儲かったら申告する?
- A. NISA口座内の利益であれば非課税のため、100万円でも申告不要です。
- Q. NISAを売却したら確定申告が必要?
- A. NISA口座内での売却益は非課税のため、申告不要です。
- Q. NISAの配当金は確定申告する?
- A. 株式数比例配分方式で受け取っていれば非課税・申告不要。その他の受取方式の場合は注意が必要です。
- Q. NISAの投資信託の分配金は?
- A. 投資信託の分配金は受取方法に関わらずNISA口座で保有していれば非課税・申告不要です。
- Q. NISAで損したら確定申告した方がいい?
- A. NISAの損失は損益通算・繰越控除の対象外のため、申告しても税金は戻りません。
- Q. NISAの損失は損益通算できる?
- A. できません。国税庁No.1535でNISA口座の損失は損益通算不可と明記されています。
- Q. NISAの損失を3年間繰越できる?
- A. できません。NISA口座の損失は繰越控除も不可です(国税庁No.1474)。
- Q. NISAと特定口座を両方使っている場合は?
- A. NISA口座の利益は申告不要。特定口座側は源泉徴収の有無等で申告要否が変わります。
- Q. 源泉徴収ありの特定口座なら?
- A. 源泉徴収ありの特定口座は原則として確定申告不要です。
- Q. 一般口座を持っている場合は?
- A. 一般口座の利益は非課税ではないため、所得額等により確定申告が必要な場合があります。
- Q. 会社員でも確定申告が必要?
- A. NISAだけなら不要。ただし給与以外の所得が20万円超などの場合は申告が必要です。
- Q. 個人事業主の場合は?
- A. 事業所得の申告は必要ですが、NISA口座の利益は非課税のため含める必要はありません。
- Q. NISAの米国株は確定申告が必要?
- A. NISA口座の米国株の売却益は非課税・申告不要。配当は米国課税が引かれます。
- Q. 米国株の配当には税金がかかる?
- A. NISA口座でも米国での源泉徴収10%はかかります。日本国内の課税は非課税です。
- Q. NISAで外国税額控除は使える?
- A. NISA口座では外国税額控除の適用は受けられません。日本国内で非課税のため二重課税が生じないからです。
まとめ
NISA口座の利益は原則として確定申告不要です。ただし、以下のポイントを押さえておきましょう。
- NISAの利益は原則非課税・申告不要(ただし「絶対不要」ではない)
- 配当金は株式数比例配分方式の設定が必須(その他の方式だと課税される)
- NISAの損失は損益通算も繰越控除も不可(申告しても税金は戻らない)
- 米国株の配当は米国課税10%が引かれる(NISAでも外国税額控除は使えない)
- NISA以外の所得・取引によっては確定申告が必要(個別事情により要確認)
本記事は2026年9月時点の国税庁・日本証券業協会等の公的表情報に基づいて作成していますが、個別の税務判断については税務署または税理士等の専門家にご確認ください。
監修・参照情報
- 国税庁 No.1535「NISA制度」
- 国税庁 No.1474「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
- 国税庁 No.1476「特定口座制度」
- 日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」
- 楽天証券「外国税額控除」公式ページ
- マネックス証券「米国株の税金」公式ページ
- 金融庁「NISA特設サイト」
※制度・税率は2026年9月時点の情報です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の税務処理を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、将来の利益を保証するものではありません。税務処理の詳細については税務署または税理士等の専門家にご相談ください。
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