💡 30秒で分かる結論
- NISA口座で生じた損失は税務上、ないものとみなされる
- NISAの損失を特定口座・一般口座の利益と損益通算することはできない
- NISAの損失を課税口座の配当等と損益通算することもできない
- NISAの損失を翌年以降へ繰越控除することはできない
- NISAの損失だけを確定申告して節税することはできない
- NISAで損切りしても税務上の損失を作ることはできない
- 課税口座で生じた上場株式等の損失は、一定の条件を満たせば損益通算・繰越控除が可能な場合がある
- NISAの売却損とNISA枠の再利用は別の話
- NISAで損失が出ても、売却した商品の取得価額相当の非課税保有限度額は翌年以降に再利用できる
そもそも損益通算とは?
損益通算とは、複数の取引で発生した利益と損失を相殺して課税対象となる利益を計算する仕組みです。
特定口座A:+50万円
特定口座B:▲20万円
条件を満たして損益通算できる場合、
50万円-20万円=30万円
が課税対象となる利益
実際の対象所得・申告方法・口座区分等については、2026年9月時点の国税庁公式情報を確認してください。
NISAではなぜ損益通算できない?
NISAには以下の特徴があります。
NISAの税務上の特徴
- 利益が出た:一定の条件で非課税
- 損失が出た:税務上の損失として利用できない(ないものとみなされる)
つまり、利益は非課税メリットを受けられる一方、損失は税務上の損失として利用できないという非対称な仕組みです。
図解:NISA利益とNISA損失
NISAで+30万円
↓
対象となる利益は非課税
NISAで▲30万円
↓
課税口座の利益との損益通算には使えない
↓
繰越控除にも使えない
具体例①:NISAで30万円損・特定口座で50万円利益
| 口座 | 損益 |
|---|---|
| NISA | ▲30万円 |
| 特定口座 | +50万円 |
初心者は
50万円-30万円=20万円
と考えやすいですが、これはできません。
NISAの▲30万円は損益通算に利用できないため、特定口座側の課税関係はNISA損失によって減少しません。特定口座の50万円が課税対象となります。
具体例②:NISAで50万円損・特定口座で30万円利益
| 口座 | 損益 |
|---|---|
| NISA | ▲50万円 |
| 特定口座 | +30万円 |
30万円-50万円=▲20万円
として税務上の損失を作ることはできません。
NISAの損失は税務計算から切り離して考える必要があります。特定口座の30万円が課税対象となり、NISAの▲50万円は税務上の損失として利用できません。
具体例③:NISAだけで損失が出た
100万円で購入
↓
70万円で売却
↓
▲30万円
この30万円について、損益通算・繰越控除・損失による還付を目的として利用することはできません。
NISAの損失は確定申告できる?
NISA口座内で発生した損失だけを税務上の損失として申告し、他の株式利益と相殺したり翌年へ繰り越したりすることはできません。
ただし、給与・副業・不動産・課税口座の株式取引・その他所得など、別の理由によって確定申告が必要になるケースはあります。「NISAで損した人は確定申告不要」と広く断定することはできません。詳しくはNISAの確定申告を参照してください。
確定申告すれば税金が戻る?
NISA損失だけを理由に「確定申告すれば税金が戻る」ということはありません。
一方で、課税口座の上場株式等で損失が発生した場合は、一定条件のもと損益通算・繰越控除等が関係する場合があります。NISAと課税口座は明確に分けて考えてください。
繰越控除とは?
繰越控除とは、課税口座における上場株式等の譲渡損失について、一定の要件を満たした場合、その年に控除しきれない損失を翌年以降へ繰り越せる制度です。
2026年9月時点の国税庁公式情報で確認してください
繰越期間等の詳細は国税庁の最新の公式情報をご確認ください。
※NISAの損失にはこの繰越控除を利用できません。
比較:NISA vs 特定口座
| 項目 | NISA | 特定口座 |
|---|---|---|
| 売却益への課税 | 非課税 | 課税(約20.42%) |
| 売却損 | 税務上の損失として利用不可 | 一定条件で損益通算・繰越控除の対象 |
| 損益通算 | できない | 一定条件で可能 |
| 配当との損益通算 | できない | 一定条件で可能な場合あり |
| 繰越控除 | できない | 一定条件で可能 |
| 確定申告 | NISA損失のみでは節税不可 | 損益通算・繰越控除に必要な場合あり |
| 年間取引報告書 | 発行される(参考用) | 発行される |
| 税金計算 | 非課税のため不要 | 源泉徴収 or 確定申告 |
| NISA枠 | 取得価額ベースで管理 | 該当なし |
NISAと特定口座では「利益だけでなく損失の扱いも違う」ことが重要です。
比較:NISA vs 一般口座
一般口座も課税口座の一種ですが、特定口座とは税務処理の手続きが異なります。一般口座の税務処理を過度に単純化せず、詳細は国税庁公式情報を確認してください。詳しくはNISAの課税口座(予定)も参照してください。
特定口座同士なら損益通算できる?
複数証券会社の課税口座で損益が分かれている場合、一定の条件・手続きのもと損益通算できる場合があります。
| 証券会社 | 口座 | 損益 |
|---|---|---|
| A証券 | 特定口座 | +50万円 |
| B証券 | 特定口座 | ▲30万円 |
一定条件で損益通算の対象となる可能性あり
源泉徴収あり/なし、確定申告等の条件は国税庁公式情報を確認してください。NISA損失とは違い、課税口座同士は条件付きで損益通算できる場合があることを強調します。
NISAの損失と配当金は相殺できる?
NISA口座で発生した売却損を使って、課税口座で受け取った配当等の課税を減らすことはできません。
一方、課税口座の上場株式等の譲渡損失と一定の配当所得との損益通算については、申告方法等の条件があります。2026年9月時点の国税庁公式情報を確認してください。
NISAで配当金が出た場合
NISAで国内上場株式等の配当を非課税で受け取る場合、受取方法等の条件があります。詳細はNISAで配当金を非課税にする方法を参照してください。外国株式の外国税等とは混同しないでください。
外国株で損失が出た場合
NISAで保有する米国株等の損失についても、NISA口座の損失として損益通算できません。
外国株の損失は論点が異なる
- 外国税(外国税額控除)
- 配当の取扱い
- 為替差損益
- 課税口座の外国株
これらは一括して「全部同じ」と扱わず、個別に確認が必要です。
詳しくはNISAで米国株を参照してください。
投資信託で損失が出た場合
NISAで保有する投資信託を損失状態で売却しても、NISA内の損失を税務上の損失として課税口座の利益と相殺することはできません。
ETFで損失が出た場合
同様に、NISA対象ETFをNISA口座内で売却して発生した損失は、課税口座との損益通算には利用できません。詳しくはNISAでETFを参照してください。
個別株で損失が出た場合
NISAの個別株でも同様に損益通算できません。ただし、「損益通算できないから損切りしてはいけない」とは書きません。税金と投資判断は別です。
詳しくはNISAで損切りは必要?およびNISAで個別株を参照してください。
損益通算できないなら損切りしない方がいい?
損益通算できない ≠ 損切りしてはいけない
税金の話と投資判断は別問題です。
損切り判断では、投資目的・企業や商品の状況・運用期間・必要資金・リスク許容度・資産配分などを考える必要があります。税務上損失を利用できないことだけを理由に保有継続を決めないようにしましょう。詳しくはNISAで損切りは必要?を参照してください。
NISAで損失が出たら何もメリットがない?
損失そのものに税務上の損益通算メリットはありません。ただし、売却した場合のNISA非課税保有限度額の再利用は別の制度上の論点です。ここを混同しないでください。
損失で売却したらNISA枠はどうなる?
100万円で購入
↓
70万円で売却
↓
売却損:30万円(確定)
売却代金:70万円
翌年以降に再利用可能な非課税保有限度額:取得価額ベース100万円分
全く別の仕組み
- 税務上の損失:利用できない
- NISA非課税保有限度額:取得価額相当額を翌年以降に再利用可能
詳しくはNISAで売却したら枠は復活する?を参照してください。
年間投資枠はその年に戻る?
戻りません。
2026年に100万円分を売却しても、2026年の年間投資枠が100万円増えるわけではありません。非課税保有限度額の再利用は翌年以降です。
損失30万円が翌年の枠になる?
違います。100万円で購入→70万円で売却の場合、30万円の損失がNISA枠として復活するわけではありません。取得価額100万円分の非課税保有限度額が翌年以降再利用可能になる仕組みです。
NISAと課税口座を使い分ける意味
投資初心者向けの基本:
- NISA:利益の非課税メリット
- 課税口座:NISA枠を超えた投資等に利用
※「損失が出そうな商品は特定口座で買うべき」「利益が出そうな商品だけNISAで買えばよい」のような、将来の値動きを予測できる前提の説明は禁止です。
NISA枠を使い切ったら特定口座?
NISAの年間投資枠を超えて投資したい場合に、課税口座を利用する選択肢があります。詳しくはNISAの年間投資枠を参照してください。
課税口座で損失が出た場合の基本フロー
課税口座で損失
↓
損益通算の対象か確認
↓
他の対象利益・配当等を確認
↓
確定申告の必要性を確認
↓
控除しきれない場合
繰越控除の要件を確認
詳細条件は国税庁公式情報をご確認ください。
NISAで損した人の確認フロー
NISAで含み損
↓
まだ保有中?
YES → 税務上の損失はまだ確定していない → 投資判断を確認
NO(売却済み)↓
NISA内の損失
↓
課税口座と損益通算 → できない
↓
繰越控除 → できない
↓
損失目的の確定申告 → 利用できない
↓
売却後のNISA枠 → 翌年以降の非課税保有限度額再利用を確認
NISA・特定口座を両方持つケース
| 口座 | 損益 |
|---|---|
| NISA | +50万円 |
| 特定口座 | ▲30万円 |
NISA利益は対象となる範囲で非課税。特定口座損失をNISA利益と相殺する考え方ではない。
| 口座 | 損益 |
|---|---|
| NISA | ▲30万円 |
| 特定口座 | +50万円 |
NISA損失を特定口座利益と相殺できない。
| 口座 | 損益 |
|---|---|
| NISA | ▲30万円 |
| 特定口座 | ▲20万円 |
NISAの▲30万円は繰越控除対象にならない。特定口座の▲20万円については要件を満たす場合の損益通算・繰越控除を確認。
複数の証券会社を使っている場合
| 証券会社 | 口座 | 損益 |
|---|---|---|
| マネックス証券 | 特定口座 | +30万円 |
| 松井証券 | 特定口座 | ▲20万円 |
| 楽天証券 | NISA | ▲10万円 |
NISA▲10万円は課税口座同士の損益通算へ含めない。
課税口座同士の具体的な税務処理は2026年9月時点の公式情報で確認してください。
NISA損失と住民税
NISA損失を使って住民税の課税対象となる株式利益等を減らせるような誤解を与えないでください。所得税・住民税の現在の申告制度については2026年9月時点の国税庁・自治体等の公式情報を確認してください。
よくある間違い
⚠️ よくある間違い
- 「NISAで30万円損したから、特定口座の利益から30万円引ける」
- → できません
- 「NISAの損失を確定申告すれば税金が戻る」
- → NISA損失そのものを利用した還付はできません
- 「NISAの損失を3年間繰り越せる」
- → できません
- 「損切りすれば節税になる」
- → NISA損失については税務上の損失として利用できません
損益通算シミュレーター
NISA・特定口座の損益を入力して、損益通算の対象外・対象を簡易試算できます。
損益通算シミュレーター
NISA・特定口座の損益を入力して、損益通算の対象外・対象を確認できます。
NISA: 0
NISA口座
損益通算対象外
NISAの損益は税務上の損益通算に利用できません(利益も非課税・損失も税務上利用不可)
課税口座合計(A+B)
0
課税口座同士は一定条件で損益通算の対象となる可能性があります
確定申告
要件を確認してください
課税口座の損益通算・繰越控除を利用するには確定申告が必要な場合があります。詳細は国税庁公式情報をご確認ください。
※注意:このツールは簡易試算であり、個別の税務判断ではありません。実際の税務処理については国税庁の公式情報を確認し、必要に応じて税務署・税理士等にご相談ください。
初心者がやりがちな勘違い
- 「NISAの損失は特定口座の利益と相殺できる」
- ×
- 「NISAの損失は一般口座の利益と相殺できる」
- ×
- 「NISAの損失は3年間繰り越せる」
- ×
- 「NISAで損切りすると節税できる」
- ×
- 「NISA損失を確定申告すれば必ず還付される」
- ×
- 「課税口座の損失は一定条件で損益通算できる場合がある」
- ○
- 「課税口座の損失は一定条件で繰越控除できる場合がある」
- ○
- 「NISAで売却した商品の取得価額相当の非課税保有限度額は翌年以降再利用できる」
- ○
- 「NISAで売却するとその年の年間投資枠が復活する」
- ×
- 「損益通算できないことと、損切りすべきかどうかは別問題」
- ○
NISAなのに税金がかかる?
NISAで税金がかかる・非課税にならない5つのケース(配当受取方式・外国税・課税口座・対象外商品・他所得)→NISAなのに税金がかかるケースは?非課税にならない5つのケースを徹底解説
よくある質問
- NISAは損益通算できる?
- できません。NISAの損失は税務上ないものとみなされます。
- NISAで損したら確定申告できる?
- NISA損失のみを目的とした確定申告はできません。ただし別の理由で確定申告が必要な場合はあります。
- 確定申告すると税金は戻る?
- NISA損失だけでは還付されません。課税口座の損失は一定条件で損益通算・繰越控除の対象となる場合があります。
- NISAの損失は特定口座と相殺できる?
- できません。
- NISAの損失は翌年へ繰り越せる?
- できません。繰越控除はNISA損失には適用されません。
- NISAで損切りすると節税になる?
- なりません。NISA損失は税務上の損失として利用できません。
- NISAで30万円損したらどうなる?
- 税務上の損失として利用できません。売却後は取得価額相当の非課税保有限度額が翌年以降再利用可能です。
- NISAと特定口座を両方持っている場合は?
- それぞれ独立して税務計算されます。NISA損失を特定口座利益と相殺できません。
- 投資信託の損失も損益通算できない?
- NISA内の投資信託の損失は損益通算できません。
- 米国株の損失は?
- NISA内の外国株損失も損益通算できません。
- 損失で売却するとNISA枠は戻る?
- 非課税保有限度額は翌年以降再利用可能ですが、同年の年間投資枠は復活しません。枠の再利用を参照してください。
- 損切りしない方がいい?
- 損益通算できないことと損切り判断は別問題です。損切り判断を参照してください。
- 課税口座なら損益通算できる?
- 一定条件で可能な場合があります。国税庁公式情報を確認してください。
まとめ
NISA損失の税務上のポイント
- NISAの損失は損益通算・繰越控除ともに利用できない
- NISA損失だけを理由に確定申告して節税することはできない
- 課税口座の損失は一定条件で損益通算・繰越控除の対象となる場合がある
- 損益通算できない ≠ 損切りしてはいけない(税金と投資判断は別)
- 売却後の非課税保有限度額は取得価額ベースで翌年以降再利用可能(同年の年間投資枠は復活しない)
税務は個人の状況によって異なる場合があるため、個別判断が必要な場合は税務署・税理士等への確認を推奨します。